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〈特集〉秦野の消防力(1)

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神奈川県秦野市

「119番消防です。火事ですか、救急ですか」
全ての消防活動が始まるのは、一本の通報から。消防指令員が通報者の声に耳を傾け、消防署の各部隊へ出動を指令する。
現場で命を救うのは、消防隊員だけではない。地域で活動する消防団、医療機関との連携など、おのおのの力が一つになるのが「秦野の消防力」だ。

●命をつなぐ指令塔

◇受信一元化で指令力を強化
秦野市・伊勢原市共同消防指令センターの運用開始から1年。119番通報を受け、消防署の出動を指令するこの場所は、火災や事故、災害への初動対応の要だ。
高齢化や熱中症、感染症などによって救急需要は増え、豪雨災害や大規模地震などの自然災害は激しさを増すばかり。近年は、消防・防災力の強化や情報伝達手段の充実がより一層求められている。「通報が増える中で、私たち指令員は、より正確で早い判断が求められています」と話すのは、同センターの髙橋指令員。運用開始前のシステム構築から携わる指令業務6年目のベテランだ。関係機関との連携強化が求められる中、生活圏が深く結び付いている本市と伊勢原市は、通報の受信を一元化した。両市の指令員は、同じ空間で情報を共有しながら、119番通報を受信している。
指令業務を行う上で最も大切なのが、通報者の場所を瞬時にかつ正確に特定することだ。同センターの指令員にとっては、両市の地理の把握や共有が運用開始後の喫緊の課題だった。
「最先端の設備を導入することで、これまで管轄していなかったエリアからの通報も円滑に対応できます」。指令業務の迅速化や地理的な感覚を補うのに大きな役割を果たしているのがICT技術。通報者と指令員の声をAIが認識し、チャット形式で文字を起こす。地名を認識するとマップ上に自動で位置が表示され、通報者のいる場所が正確に特定できるという。さらに、通報者や現場に到着した部隊が必要に応じてスマートフォンで映像を撮影し、同センターと共有する映像通報システム「Live119」を導入。災害現場で活用することで、的確でスピード感のある活動につながっている。

◇現場へつなぐ迅速な判断
「高速道路で交通事故が発生した際は、次の一手を素早く判断することが大切です」。事故の通報が入ると、指令員はまず出動可能な救急隊や消防隊の位置を確認。事故現場から最も近い部隊を選び出動を指令する。現場に到着した隊員から現場の様子が映像で送られてくると、救出の時間や火災発生の危険の有無を判断し、必要があれば応援要請をすぐに行うことができるという。この1年で、両市が相互に行う応援要請の件数は約3倍に増加。それぞれの市で指令業務をしていた頃は、電話で応援要請をしていたが、現在はセンター内で判断し出動することが可能になった。
昨年12月と今年1月に両市で発生した山林火災でも、同センターの「消防力」には目を見張るものがあった。1月の大倉尾根では、刻一刻と現場の状況が変わる中、両市だけにとどまらず、他市の消防や自衛隊などの応援部隊を含めた活動体制を早い段階でつくり上げたという。横浜市消防局がヘリコプターから火災現場の上空を撮影し、映像通報システムで同センターと映像を共有。市消防本部でもドローン撮影を行い、自衛隊に提供した。自衛隊をはじめとする空中部隊は、現場の情報を基にヘリコプターでの散水消火を行った。「地上からは見えにくい火煙の全体像をリアルタイムで共有することで、的確な消火活動の判断ができました」と振り返る。
消火活動や救命活動に必要な情報を引き出すため、通報者に寄り添うことを心掛けているという髙橋指令員。「通報者、指令員、現場の隊員が連携することで、救命のバトンをつなぐことができます」と力を込める。同センターは、これからも指令員のスキル向上を目指しながら、最新のICT技術を活用し、「消防の指令力」を強化していく。

◎ドローン隊が上空から山林火災の現場を撮影。赤外線カメラと2画面で表示し、空中消火の目標となった

●日頃の備えを見直そう 3月1日~7日は春の火災予防運動
住宅用火災警報器は、設置後10年を経過したら本体の交換をしましょう。定期的な作動確認や点検が重要です。

問い合わせ:予防課
【電話】81-5240

問い合わせ:
・情報指令課
【電話】63-0119
・警防課
【電話】81-7992

       

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