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〈特集〉秦野で楽しむ農ある暮らし(2)

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神奈川県秦野市


平成17年に開設されたはだの都市農業支援センターは、これまで新規就農者の確保や鳥獣被害対策、営農指導など、市と市農業協同組合(JAはだの)、市農業委員会が一つとなり、市内の農家を支えてきた。
農業から離れる人が増える中、同センターが新たに打ち出す体験農園は、市内の農業に触れる人を増やす新たなツール。同農園を中心とした新時代の担い手づくりが動き出す。


「農の裾野を広げるシンボルになる取り組みです」。熱く語るのは、はだの都市農業支援センターの栗原担当係長。JAはだのから配属された営農指導員だ。栗原担当係長によると、「はだのコモンズ体験農園」は、平沢にあるJAはだの本所の隣地にオープン。10カ月間自由に区画を出入りできて、プロの農家による栽培講習会を受けられる新しい体験農園だ。「『コモンズ』は共同管理という意味。利用者と一緒に運営していきたいという思いがあります」
利用者には特典が盛りだくさん。収穫体験ができる「はだの農業満喫CLUB」の割引チケットがもらえる他、秦野で昔から食べられている郷土料理などの作り方を学べる教室も受講できる。「トイレや駐車場、水、農機具が無料で使えるのも売りなんです」
整備される前のこの場所は栗畑で、所有者は代々続く農家。「はだのじばさんず」にも出荷する組合員であるため、かねてからJAはだのとも交流があった。おととし秋に今の代へ相続された際に、「市内の農地が宅地に変わるたびに残念な思いをしているから、次の代まで農地として残したい」という所有者の思いと、立地の良いこの農地に魅力を感じたJAはだのの事業方針がマッチしたという。
「農地を相続した方に農業経験がなくて、やむなく手放すというのはよくあるケースです」。昨年実施された農林水産省の「農林業センサス」によると、市内の農業経営体は5年前の525件から342件まで減少。農地面積も427ヘクタールから321ヘクタールまで数を落としている。要因として挙げられるのは、農家の多くがいわゆる「都市農業」を営んでいるということ。「周りに住宅がある都市農業では、農薬散布や臭気、騒音などで肩身が狭い思いをします」。農家や農地の減少は、全国的な課題でもある。世間を騒がせる米の高騰も、供給量が減れば必然だ。クマの出没も、山と市街地の緩衝地帯である農地が減ったことの影響は大きいという。「地下水が染み込むのも農地です。名水を保つためにも、維持していきたいですね」
対策として、同センターでは、「農に関わる人のすそのを広げる活動」(上図)を進めてきたという。市や農家と手を取り合い、消費者から市内で就農を目指す層まで、農業への関わり方を段階的に分け、さまざまなニーズに対応する。しかし、全てを自分で管理する市民農園をいきなり利用するのはハードルが高い。「パズルのピースがはまるように、『はだのコモンズ体験農園』は、足りなかった段階を補ってくれます」。利用者が農業の楽しさを感じれば、市民農園の利用や「はだの市民農業塾」の新規就農コースへとステップアップできる仕組みだ。
開園を前に、「はだのガストロノミー宣言」というポータルサイトを立ち上げた。頻繁に市内を訪れることになる利用者に、地元の物を食べて町を巡れる情報を提供するものだ。「はだのコモンズ体験農園を中心に、市内のネットワークを築きたいです」。食と農と地域文化が一体化するのが〝ガストロノミー〟。さまざまな「楽しい」や「おいしい」が交わり、秦野の農業は今後一層盛り上がりを見せる。

問い合わせ:はだの都市農業支援センター
【電話】81-7800

       

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