文字サイズ

特集 地域が育むはだのっ子(1)

2/34

神奈川県秦野市

地域の人と人とのつながりが子供たちの心や体を豊かにする。市内には伝統行事の継承やスポーツを通して、子供の成長を見守ろうと活動する人たちがいる。

■「元気で育って」を大空に
「昔は近所の友達と大きさや揚がる高さを競い合ったもんだよ」と子供の頃を懐かしむのは、市内でたこ作りやたこ揚げ文化の継承活動をしている西風会の丸山利夫会長(75歳・立野台)。南地区に長年伝わる、「出世祝い凧(だこ)」を揚げる行事に携わっている。
正月遊びとして親しまれるイメージのたこ揚げ。市内では、昔からこの時期になると、たこの上部に突き出た「うなり」と呼ばれる長い棒から響く音が、あちこちから聞こえてきたという。南地区では、毎年冬に行われる公民館まつりで大だこを展示。子供の名前を書いた和紙をたこに貼り、「こどもの日」に揚げるのが風習だという。
たこを通じて、子供の成長を支えたいと考える西風会。活動は制作や揚げることだけにとどまらない。市内の小学校で、児童に作り方や揚げ方の出前授業を開いている。「外で遊ぶ楽しさや自然の良さを感じてもらえるのはうれしいね」
ところが令和4年、揚げてきたたこが老朽化に耐えられず破損。それでも丸山会長らは、「子供たちにもう一度たこを」と諦めず、1年かけて制作し直した。昨年、無事に揚がった新生「出世祝い凧」。「改めて伝統を残していかなければという思いが込み上げてきたね」と目を細める。
より多くの人に、たこへの興味を持ってもらいたいと願う丸山会長。たこをきっかけに地域の絆が生まれることが理想だ。「地域ぐるみで子供の成長を見守ることができると良いね」。南地区の「出世祝い凧」は、親から子、そしてまた次の子への願いを背負い、これからも大空を舞う。


1 5人がかりで揚げたたこは、子供たちの成長を願い空高く揚がる


2 均一に削った竹のチェックをする丸山利夫会長


3 和紙と竹の組み上げは繊細な作業。多くの人の手と思いが加わり完成した

問い合わせ:こども育成課
【電話】86-6270

       

秦野市より市民のみなさまへ大切な情報をいち早くお届けします。 広報プラス ー広報はだのー

MENU