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■この街には、醸し手がいる。
手がかじかむ冬の朝、明治元年から続く市内唯一の酒蔵に、もくもくと湯気が立ち込める。蔵人(くらびと)たちが運んでいるのは、蒸し上がったばかりの米。創業当時から受け継がれている酒造りの始まりだ。
昨年12月5日、日本酒や焼酎、泡盛などこうじ菌を使った日本の「伝統的酒造り」がユネスコ無形文化遺産に登録された。各地で喜びの声が上がる中、秦野の蔵人たちは、培った技術と地域性を生かし、地酒の魅力を伝えようと励んでいる。