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形なきものを未来へ

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神奈川県秦野市

「ソラオッチョコチョイノチョイー」
歌い手の声に合わせ、女性たちが息を合わせて舞うのは、「ささら踊り」。葉タバコ耕作で栄えた秦野には、作業が忙しくなる8月を避け、7月に盆の行事が行われる地域がある。その一つ、北地区で盆踊りとして伝えられているのがこの踊りだ。
「私たちの世代でこの文化を絶やす訳にはいかないんです」と話すのは、秦野ささら踊り保存会の泉田悦子会長(76歳・戸川)だ。同会は、昭和52年(1977年)に北地区在住の有志により結成。大正11年(1922年)頃まで踊られていたこの踊りを復活させ、今の時代まで伝え続けている。
江戸時代から明治時代にかけて相模国で流行した「相模のささら踊り」は、小太鼓を打ち、竹を短冊形に束ねた楽器「ビンササラ」を鳴らし踊られた。秦野に伝わったのは「扇踊り」や「ちょうちょ踊り」、「かえる踊り」の3種類。「もともとは少女の踊りだったんです」。大正時代には、葉タバコ農家の庭先を巡って踊る美しい浴衣姿に、周りの若者は魅了されたという。
平成20年(2008年)には、県の無形民俗文化財に指定された。人が人へと伝えなければ残らないのが踊りの文化。「人目に触れるよう、地道な活動を続けていくことが大切です」と力を込める。県内の保存会が集まる大会や市民体育祭など地域の行事での披露、地元の保育園や小学校での指導など、これまでも、若い世代へ伝えていくための活動に力を注いできた。
地道にまいた〝興味の種〟が芽吹き、保存会の一員として花開いてくれることを願って、会員たちは今日も舞う。「その時まで守っていかなくちゃね」と語る泉田会長の瞳には、いつか一緒に踊る若者たちの浴衣姿が映っているのかもしれない。

●相模ささら踊り大会
とき:7月24日(水)午後1時半~4時
ところ:厚木市荻野運動公園体育館(厚木市中荻野1500)

問い合わせ:生涯学習課
【電話】87-9581

       

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