小学校の図書室。児童がいつものように本に手を掛けると、隣には同じように本を手に取る大人の姿が。
今年4月、末広小学校が「子供の読書活動優秀実践校」として文部科学大臣賞を受賞。昨年5月から月2回行っている、学校の図書室を保護者や地域の人に開放する取り組みが、「特色ある優れた読書の推進活動」と評価された。
「地域との交流のきっかけになればと思い、始めました」。市内で初めての試みに挑戦したのは、吉田正也校長。児童が大人から知識や経験を学ぶ機会になると、モデル校に名乗り出た。
近年、スマートフォンの普及など生活環境が変化したことで進む子供の読書離れ。国立国会図書館が令和4年に行った調査では、小・中学生、高校生の1日当たりの読書時間が平均で15・2分にとどまり、平成29年から減り続けていることが確認できる。
子供に読書の習慣を身に付けてもらうため、市内の小・中学校では、毎月第1月曜日を「よむよむDAY」と定め、電子書籍の導入やお薦め図書の紹介など、学校ごとに特色ある取り組みを進めている。末広小学校では、そこに図書室の地域開放を加え、地域ぐるみで読書を推進する考えだ。吉田校長は、「大人も子供も一緒に読書を楽しめたらいいですね」と期待を寄せる。
現在、堀川小学校と本町小学校でも保護者向けに図書室が開放されている。今年度は北幼稚園・小・中学校でも開始する予定で、少しずつ広げていく計画だ。末広小学校でのスタートから1年、利用する保護者からは、「子供と本の話題で話すことが増えた」という声もある。
知的探求心が培われ、読解力が養われる読書。1冊の本から得た知識が、会話のきっかけを生むことも。図書室の開放は、学校と家庭、そして地域に、読書の輪を広げるだろう。
○末広小学校図書室 今月の開放日
とき:6月12日(水) 26日(水) 午前10時45分~午後0時15分
※7月以降の開放日は、順次市ホームページで案内します
利用方法:図書室受付で名前と電話番号を記載
問い合わせ:教育指導課
【電話】84-2786