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〈特集〉能登半島地震に学ぶ(1)

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神奈川県秦野市

死者241人、家屋の倒壊など建物被害は7万2000棟以上と、大きな被害をもたらした能登半島地震。発災後いち早く物資の支援のため被災地を訪れた職員は、「地震の規模の大きさを改めて思い知った」と振り返る。自身の目で現地の状況を見てきた市防災課長に、今回の地震から見えてきた課題と対策を聞いた。
※記事内の数値や記載の状況などは、いずれも2月20日現在

◎防災課 大森淳課長
かほく市から物資の支援要請を受け、1月5日に自身を含めた防災課職員5人でかほく市と羽咋市に物資を搬入。その後、人事課など庁内の関係部署と連携し、志賀町への職員派遣などを行っている。

■家屋への被害と対策
防災課が支援物資を届けたかほく市では、傾いている木造家屋が多く、一部地域の住民は避難所生活を余儀なくされていた。また、消防や上下水道局の職員が派遣された輪島市では、2000棟以上の家屋が全壊した。「旧耐震基準の木造家屋が多かったことが、要因として指摘されています」。昭和56年5月以前に建てられた木造家屋は、震度7以上を想定した造りになっていないという。
現在、秦野市でまだ耐震化されていない住宅は、全体の約10パーセント。今回と同規模の地震が発生したら、大きな被害を受ける可能性があるといわれている。「命を守るためにも、早急に耐震診断をしてください」と呼び掛ける。
もう一つ目を向けてほしいのが、「家の中の耐震化」だ。「建物が無事でも、家具の転倒で室内に被害が出ると、在宅避難が難しくなります」。能登半島地震の死傷者の多くは、建物倒壊や家具転倒によるものだった。地震発生後も自宅で安全に過ごせるように、まずは家の中の安全対策を見直してみてほしい。

◯家具転倒やガラス飛散防止のためにできること
・部屋の出入り口や廊下、階段に家具を置かない
・L字金具やポール式器具などで家具を固定する
・食器棚などにガラス飛散防止フィルムを貼る

◯家具転倒防止の相談や取り付けを支援します
対象:家具の転倒防止やガラスの飛散防止などの対策が困難な高齢者世帯、ひとり親世帯など
※器具の購入費用は実費


◎道路が崩壊した輪島市


◎ポール式の器具などでしっかりと固定を

◆補助します 木造住宅の耐震診断や耐震補強
対象:昭和56年5月31日以前に建築し、その後10平方メートルを超える増築をしていない木造住宅
※補助額や申請方法などは問い合わせてください

問い合わせ:建築指導課
【電話】83-0883

◆派遣職員が見た被災地
上下水道局営業課 但馬直樹主事補

地震発生時から断水が続いている輪島市や志賀町で、応急給水を行いました。避難所では、自衛隊や各市町村の支援のおかげで飲み水は確保されており、コンビニなどが営業を再開しているエリアもありました。しかし、トイレなどの生活用水が足りず皆さん困っている様子でした。仮設トイレやトイレカーもありましたが、すぐに満杯となりくみ取りに時間を要しており、生活用水の重要さを感じました。

◎1月16日から1週間、応急給水活動に従事

■表面化した避難所の課題
報道などで問題となっていた、避難所でのプライバシー確保。かほく市や羽咋市では、その対策として、パーテーションや段ボール製の間仕切りなどを設置していた。「秦野市でも段ボール製の間仕切りを導入しています」。避難所への配備に加え、段ボール製造会社などと協定を結び、災害時に供給を受けられるようにしている。一方で今回の避難所では、ある避けられない問題が浮き彫りに。断水によるトイレの問題だ。
「トイレを使えないのが一番つらいという声を多く耳にしました」。水洗トイレが使えない被災地では、仮設や携帯版などの災害用トイレが使われるが、当然数には限りがある。飲食を控えたり、我慢をして健康を害してしまった人も少なくないそうだ。
大森課長は「トイレの確保は命につながる問題です」と、携帯トイレの備蓄の必要性を強調する。携帯トイレは、便袋と吸水シートや凝固剤がセットになっており、家庭の洋式便器や避難所の簡易トイレなどに取り付けて使う。水を使わずに、排せつ物を固めてごみとして処理できるので、衛生面も安心。平時から準備しておけば、いざというときにきっと役に立つはずだ。

◯携帯用トイレの試算
1人1日当たりの平均使用回数(5回)×必要日数×家族の人数


◎世帯に応じたスペースも確保できる


◎現地ではトイレカー(左)や仮設トイレ(右)に長い行列ができた


◎使い捨てのポリ袋を既存のトイレにかぶせて使用する

       

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