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〈特集〉技の祭典(4)

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神奈川県秦野市

◯決勝の削り材は明治生まれ

◎(株)諸戸ホールディングス
笹原美香さん(44歳)

薄削りの決勝には、市内で育った樹齢120年を超えるヒノキ材が提供される。「出場者の皆さんが削りやすい木を出荷したいと思っています」。薄削りに適した木材を提供しようと、大会へ向け準備するのは、丹沢寺山地区で1世紀以上前の先人たちから引き継ぎ、スギ・ヒノキを守り育てている(株)諸戸ホールディングスの笹原さん。この会社の前身、諸戸林業(株)が明治29(1896)年、この地区一帯の森林を購入し苗木を植林した。
「50年、100年先のことを考えて作業しないと」。今植えた木が1世紀先どうなっているのか分からないのが林業の難しさ。将来どんな森にしたいかを考えながら、木の状態を見極め、良い木を残すことを意識している。木を切り過ぎないことがポイントなんだとか。一般的には、1ヘクタール当たり3千本ほど植えるところを、6千本以上植えることで、木を密集させてゆっくり育てているのが、この森の特徴。木目が詰まった丈夫な木が育つという。
大会に参加する職人からのニーズは、建築用の木材とは異なるという。「水分を含んでいたほうが削りやすく、職人からも喜ばれます」。大会開催が迫る今月に切り出すことで、乾燥する時間を与えず、丸太からは、鉋の刃が通りやすいよう、木目が真っすぐ通った部分を取り出す。「マグロで例えると大トロの部分なんですよ」
笹原さんが切り出した木は、最後に中西実行委員長が仕上げる。「自分が切った木がどんな仕上がりになるか楽しみです」と話す笹原さんの目には、幾多の手により聖火の如く引き継がれてきたヒノキが、大会の舞台で脚光を浴びる姿が浮かんでいるのかもしれない。

《なんで大トロ?》
木材の取り出し方は、2種類。決勝の削り材には、取り出せる数が少ない希少な正目が使われます。
・正目
・板目
※詳細は広報紙3ページの図をご覧ください。

・Point
正目は水分を多く含みますが、板目は空気や水分を通しづらく強度も高いといわれています。

問い合わせ:
・産業振興課
【電話】82-9646
・森林ふれあい課
【電話】82-9631

       

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