後継者がいないことで管理ができず、倒壊の危険にさらされていた山小屋の解体作業。表丹沢の新大日で、ボランティアにより進められている新しい取り組みを紹介する。
「大好きな表丹沢のために来てくれた全てのボランティアに、ありがとうと言いたいね」と話すのは、表丹沢登山活性化協議会の神野雅幸代表。木ノ又小屋の管理者で、通り道にある新大日茶屋はよく見ていたという。
60年以上前に建てられ、にぎわいを見せた新大日茶屋は、所有者の突然の体調不良により平成21年に休業。その後は老朽化が進み、倒壊寸前の状態になっていた。
標高1340mにある山小屋の解体には、多額の費用と多くの人手が必要で、個人ではとても賄うことはできない。そんな所有者の悩みを解決しようと、神野さんが名乗りを上げた。「登山客からのなんとかしたいという声もたくさん聞いててね。その人たちのつなぎ役になろうと思ったら、自然と体が動いていたよ」
表丹沢の環境保全や活性化のため、神野さんと周辺の山小屋関係者で昨年11月に「表丹沢登山活性化協議会」を発足し、解体のために立ち上げたのが「表丹沢サンクスプロジェクト」だった。
12月17日から1月22日にかけて行われた解体作業では、回を追うごとに現場に集まるボランティアが増えていったんだとか。「下山する人が笑顔で荷下ろしを手伝ってくれてね。それを見た登山客がボランティアに参加してくれる、そんな連鎖が生まれていたんだ」と嬉しそうに話す。
解体が終わってもプロジェクトは終わらない。「ボランティアやクラウドファンディングのおかげで、解体まで進めることができたけど、新大日にはまだ重い廃材が残っている。きれいになるまで、もうひと踏ん張りだね」
人のつながりが希薄になった現代に行われた、この新しい取り組み。今後も、表丹沢登山活性化協議会の活動から目が離せない。
表丹沢登山活性化協議会
神野雅幸代表
(58歳・小田原市)
■〈連動企画〉参加してくれた全ての方に“ありがとう”
市公式YouTube「はだのモーピク」で公開中
【URL】https://www.youtube.com/watch?v=1eF7FURF5Mw
■僕も参加しました
熊澤蓮さん(秦野高1)
塔ノ岳が好きで、昨年は10回以上登りました。所属する山岳部の顧問から新大日茶屋解体のボランティアを募集していると聞き、参加を決めました。
廃材を4袋持って下りるのは大変でしたが、大好きな丹沢に恩返しができてうれしい気持ちが大きかったので、楽しく活動できました。
■新大日はどこ? 丹沢の山
渋沢丘陵から見た丹沢の山々
1 二ノ塔(1144m)
2 三ノ塔(1204.8m)
3 烏尾山(1136m)
4 行者岳(1180m)
5 新大日(1340m)
6 木ノ又大日(1396m)
7 塔ノ岳(1490.9m)
8 花立(1370m)
問い合わせ:
・表丹沢登山活性化協議会
【電話】090-9383-2455
・観光振興課
【電話】82-9648