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〈特集〉地域で受け継ぐ 秦野と源氏をつなぐ縁

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神奈川県秦野市

源氏にゆかりのある場所や言い伝えが数多く残る秦野。中でも東地区に伝わる、実朝にまつわる史実や伝説など「秦野と源氏をつなぐ縁」を知れば、今よりもっとこのまちが面白く興味深くなるはずだ。

■実朝ってどんな人?
武士が政治的権力を持つ武家政権として、約150年続いた鎌倉幕府。その初代将軍源頼朝と北条政子の次男として生まれた源実朝は、二代将軍で兄の頼家が暗殺された後、12歳という若さで三代将軍となった。しかしその実朝も、兄頼家の息子で甥(おい)に当たる公暁(くぎょう)の手に掛かり、28歳で非業の死を遂げる。
そんな悲劇の将軍実朝は、歴史上では歌人としての才能や印象が色濃く伝えられている。
実朝の歌集「金槐和歌集」に収められた、「時により過ぐれば民の歎(なげ)きなり八大龍王雨(はちだいりゅうおう)やめ給(たま)へ(ありがたい雨でも度が過ぎると民を困らせるので、これ以上雨を降らせないでください)」と祈念した一首。「民の歎き」という言葉に、常に庶民を気に掛けた実朝の優しさや人物像をうかがうことができるだろう。

◎人物相関図
※詳細は広報紙2ページをご覧下さい。

■御首(みしるし)はなぜ秦野に?
1219年1月。実朝の右大臣拝賀の儀の後に事件は起きた。
鎌倉の鶴岡八幡宮から帰ろうとした実朝は、父の敵討ちとして公暁に暗殺された。しかしその公暁も、三浦半島に本拠を置いていた三浦氏を頼って行く途中、三浦氏の家来によって殺されてしまう。そして、御首を拾い上げた三浦氏の家来の武常晴は、当時秦野一帯を治めていた波多野氏を頼って、この地に手厚く葬ったといわれている。
実朝の供養に深く関わったとされるのが、東田原にある金剛寺。生前、実朝が信仰していた臨済宗の開祖である栄西の一番弟子退耕行勇(たいこうぎょうゆう)が開山したお寺で、鎌倉時代はまだ小寺だったという。常晴はここに御首を持ち込み、行勇を招いて木造の五輪塔を建立し、供養したとされている。

◎大聖山金剛寺(東田原1116)。実朝の死後に贈られた称号である金剛寺殿にちなみ、金剛寺の名称に改められた
◎源実朝公御首塚。供養塔は33回忌の1250年に木造から石造に姿を変え、今でも地域の人たちによって大切に供養されている
※詳細は広報紙2ページの写真をご覧下さい。

◆現代に残る源氏とのつながり
《実朝まつり》
30年以上続く、地域主催の伝統行事。1面で紹介した甲冑(かっちゅう)の子供たちに加え、稚児などの格好をした地元の子供たちが供養のため練り歩く「稚児武者行列」や、金剛寺の住職による実朝供養などが行われる。

《波多野金槐植物苑》
実朝の人物像としての優しさや柔らかさを後世に伝えようと、東地区まちづくり委員会が中心となって、実朝800回忌だった第30回目の実朝まつりを迎えた平成29年に御首塚内に整備。園内には、金槐和歌集に収録された30種類の植物が、歌碑と共に紹介されている。

◆〈市内に8カ所もある〉鎌倉殿の13人秦野ゆかりの地めぐりマップ
配布場所:市役所西庁舎1階観光振興課、観光協会、秦野駅観光案内所、公民館、駅連絡所など
※左の二次元コードからもダウンロードできます
※二次元コードは広報紙2ページをご覧下さい。

◎地図と共に写真や解説も掲載

問い合わせ:観光協会
【電話】82-8833

◆歴史を絶やさないために
ゆかりの地が市内にたくさんあることを、意外と市民の方に知られていないと思うんです。今回の大河ドラマの放送や、新東名高速道路の開通は、秦野にもゆかりの地があるんだということを広く市内外に知ってもらう絶好のチャンスだと考えています。
これまで30年以上東地区で受け継がれてきた実朝まつりなど、みんなが秦野と源氏のゆかりを大切にして歴史を紡いできました。今年2月には、まちづくり委員会で市の交付金を活用して金槐植物苑にベンチを設置したり、ゆかりの地などを載せた案内看板を作製したりして、観光地としての魅力を向上させてきました。
そういった地域でつないできた歴史や思いは東地区の財産です。この機会に関心が集まることで盛り上がってくれたらと考えると同時に、これからを担う子供たちにもつながってくれたらうれしいですね。
東地区まちづくり委員会 髙橋正弘会長(75歳・名古木)

◆秘仏薬師如来の御開帳
12年に一度、現世での苦しみを取り除き安泰をつかさどる仏といわれる薬師如来の御開帳が、3カ所の寺院で行われます。
とき:4月8日(金)~12日(火) 午前9時~午後4時
ところ:
・東光寺
【住所】南矢名366
【電話】77-0133
・天徳寺
【住所】文京町6-22
【電話】81-0899
・潭広院
【住所】西田原98
【電話】81-2357
※詳細は各寺院へ

◎ちなみに…
源頼朝や北条政子も信仰した薬師如来。お隣伊勢原市の日向薬師には、娘の病気治癒や実朝の安産祈願で参詣しています。

問い合わせ:生涯学習課
【電話】87-9581

◆もっと鎌倉殿を知るなら
・NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」公式サイトへ
・県特設ウェブページ鎌倉殿×13人の御家人たち「ゆかりの地」めぐりへ
※詳細は広報紙2ページの二次元コードをご覧下さい。

◆波多野金槐植物苑に行くなら
ところ:東田原1018-2
アクセス:秦野駅北口から「藤棚行」または「神奈川病院・くず葉台経由秦野駅行」バスで「中庭」下車徒歩3分

●参考文献
・秦野郷土文化会編集「実朝と波多野中世の秦野を知るために」、夢工房発行、昭和63年
・市教育研究所編集・発行「秦野ふるさとめぐり2017版」、平成29年

       

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