はだの浮世絵ギャラリーと宮永岳彦記念美術館の市所蔵作品を通じて、作品の時代背景や裏話を紹介します。
◇歌舞伎で伝えられる武勇伝
歌舞伎などの名場面を描いた「見立三十六句選(撰)」。上側には松尾芭蕉の一門などが詠んだ句が添えられ、下側には歌舞伎の一場面が描かれています。
今回の作品名の「八郎ためとも」とは、鎌倉殿の源頼朝の叔父、源為朝のこと。巨漢で弓を巧みに使い、軍船を沈めるほどの強い武将として知られていました。曲亭馬琴の読本「椿説弓張月」では、その波瀾万丈な英雄譚が収められ、人気を博していました。
◇自信と意思の確立
昭和30~40年代、宮永は抽象表現が流行していた海外の影響を受けた作品を多く描きました。
今回の「憩」は、背中が大きく開いた大胆な衣装と動きのあるポーズ、自信に満ちた表情を浮かべた色気のある女性が細かく描かれ、これまでの油彩画とは異なる描き方がされています。この作品以降、長く模索を続けた油彩画に対して、宮永は独自の画風を確立させました。
50歳を目前にした宮永は、グラフィックデザインの仕事を整理し「純粋に自分だけの絵を描きたい。もうその時期なんだ」と油彩画に専念する決意を示しました。
◎詳しい解説、バックナンバーは市ホームページへ
・はだの浮世絵コレクション
【HP】https://www.city.hadano.kanagawa.jp/www/contents/1640665270683/index.html
・Miyanagaコレクション
【HP】https://www.city.hadano.kanagawa.jp/www/contents/1622511534950/index.html
※詳しくは本紙P.5をご覧ください。
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