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〈特集〉桜花爛漫(おうからんまん)の低山 弘法山公園(2)

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神奈川県秦野市

◇桜と人の世代交代
弘法山の山頂に、楽しげな子供たちの声が響く。1月29日、大根小学校と広畑小学校の児童たちが桜を植樹した。
発案したのは、コミュニティーセンターの運営や地域の祭りで遊具を設置するなど、子供の居場所づくりに取り組む大根地区新しい街づくり運動推進委員会の吉田正弘会長(78歳・南矢名)。市と協力し、地元で桜の植樹活動にも携わっている。
「私が子供の頃は、どこにいても声が聞こえてきたもんですけどね」と、子供たちが外で遊ばなくなったことに寂しげな表情を浮かべる。居場所づくりと、地元の資源である弘法山を盛り上げたいという気持ちから、児童たちによる植樹を思い付いたという。弘法山公園の魅力向上を図る市や、学校間の交流を深めようと意気込む両校の教職員たちがこれに賛同。地元の寺も植樹場所の提供という形で力添えし、市制施行70周年を記念する市民アイデア事業に認定されるほどに大きなイベントとなった。「一人でも欠けたら成功しなかったかもしれませんね」
当日植えられたのは、2本のジンダイアケボノ。ソメイヨシノと似た花を同じ時期に咲かせ、病気にかかりにくいため、代わりの品種として注目されている。植樹した児童たちと一緒に、次の時代を生きる桜だ。早ければ花を付けるのは今年の春。吉田会長は「みんなの思いが詰まった木ですから、元気に咲いてほしいですね」と目を細める。
かつて一度は無くなってしまった弘法山公園の桜は、地域の人たちの手によって名所としてよみがえった。令和になった今、植え替えという手段で次の世代が歴史をつないでいく。今年の春はぜひ、地域が守り続けてきた桜色に染まる園内を歩いてみてほしい。


1 植樹された桜の傍らに立つ吉田会長。そばに打ちこまれた杭には、「市制施行70周年記念植樹」の文字が


2 児童による植樹の様子。大根小学校3年生、広畑小学校3・4年生計100人が参加

問い合わせ:観光振興課
【電話】82-9036

       

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